白熱を極めた、第二回魔界統一トーナメントが無事閉幕した、三日後の夜。午後七時丁度にある特別番組が放送された。

 

 

小兎「皆様こんばんは! 第二回魔界統一トーナメントの興奮冷めやらぬ今宵さっそく、この『ドキ!!☆女だらけの?トーナメントプレイバック』を魔界不死TVの新社屋Fスタジオから生中継でお送りしたいと思います! メイン司会を務めさせて頂きますは、第一回トーナメントからの実況担当・カルトの小兎でーす!

樹里「同じく、今回から審判団団長をやらせてもらいました樹里です♪ もう一度観たいあの試合、見逃してしまったこの試合を、TVの前の皆様と一緒に振り返っていきたいと思います!

瑠架「救護班チーフを任せて頂きました、瑠架です。看護師としてだけではなく、今回はカルトとしてもトーナメントを支えることができて非常に光栄に思っています」

 樹里「私達、不死TVで放送された直前特集の番組やトーナメントのプロモーションCMにも出させて頂きましたものね。ここ一、二年で魔界でもお仕事が増えて忙しいけどありがたいですー」

 小兎「えーさて、ここで私どもと一緒に番組を盛り上げてくださる、魔界屈指の超豪華ゲストの皆様方をご紹介いたしましょー!!

 躯「・・・・・・おい、ちょっと待て。さっそく水差して悪いがこの番組、まずタイトルに偽りありじゃないか?

 孤光「『女だらけの』なんでしょ? なーんで受付にいたオカマ野郎が当然のように座っちゃってるわけ?

 凱琉(がいる)「あーら、人間界の某企業どもじゃあるまいし、なーんにも偽装なんかありませんよ。ホラ、よく見て、『女だらけの』の後に、ちゃんと『?』が入ってるじゃないですか♪ だから出演者が生粋の女だけじゃなくても、別に問題無いんです! っていうかアタシ、心は永遠の乙女ですから〜」

 瑠架「それこそ某スポーツ新聞じゃあるまいし・・・・・・」

 躯「何か、始まって早々腹の底から尋常じゃない殺意がわきあがって来るんだが」

 小兎「穏便にお願いします! 魔界といえども殺人生中継はまずいです! では樹里さん、今の内にゲストの皆様のご紹介を!

 樹里「は、はーい! えっと、まずは第二回魔界統一トーナメントで見事優勝を飾り、魔界の二代目大統領の座におつきになられた躯大統領様でーす! 続きまして、初代ファーストレディの孤光選手、その古くからの戦友棗選手、女性選手としては最年少の流石選手」

 流石「やっほー、鈴駒くん観てるー?

 樹里「・・・・・・そ、そして・・・・・・スタッフ代表・・・・・・ってことでいいのかな? 受け付けアルバイトの凱琉さん、です」

 凱琉「ども〜黒鵺ちゃん観てるー?

 棗「・・・・・・気のせいかしら・・・・・・黄泉でもないのに、どこかでTVを殴り壊す音が聞こえたような・・・・・・」

 瑠架(そういえば凱琉さんって、元詐欺師だとか言ってたわね。どんな手使ったか知らないけど、昔取った杵柄を存分にフル活用したんだわ、きっと)

 小兎「え〜改めて当番組の趣旨を申し上げます。三日前、躯新大統領の誕生と共に幕を下ろした、第二回魔界統一トーナメントを、その大統領ご本人をはじめ、トーナメントにおいて鮮やかにかつ華やかにご活躍なさった女性選手の皆様と私達カルトで、トーナメントの名場面の数々を振り返っていく、というのが基本姿勢です」

 孤光「振り返る、ねぇ・・・・・・簡単に言っちゃえば、今回は前回以上にあたしらの仲間内で潰し合ってた感があるんだよね。かくいうあたし自身、三回戦で周に負けたしさ。その周は四回戦で九浄に負けてたし」

 棗「私は四回戦目であんたの旦那に負けたわ。あのブロック、今思い返してもかなり荒れてたわよ」

 瑠架「正に手に汗握る展開でしたわね。それから、私達や女性選手の皆さんが知っている試合の裏側や他の選手の方々の裏話なども、視聴者の皆様にお伝えしていきたいと思います。それではまず流石選手、ご自身のも含め、特に印象に残った試合の事をお聞かせ下さい」

 流石「ん〜、自分の試合よりむしろ、他の人のをもう一回観たいわね。っていうかやっぱ鈴駒くんよ鈴駒くん! 腕も男も上がったわ〜惚れ直しちゃった♪」

 小兎「しかも二回戦であたったのが、あの黄泉選手のご子息、修羅選手でしたね。トーナメント出場選手中、最年少とその次点に当るお二人なんですけど、大人顔負けに白熱した試合でした! さっそくVTRをご覧頂きましょう」

 

 孤光「二人とも小回り聞くから、観てると目が疲れるねぇ。しっかし修羅には悪いけどさ、あの技で負けたとなると、あたしだったら一生立ち直れないと思う

 棗「プライドズタズタよね・・・・・・あぁ、丁度ここだわ、鈴駒の魔妖妖十六個が合体して巨大化するとは、本当に度肝を抜かれたわよ」

 躯「しかもその魔妖妖が真ん中からばっくり開いて、修羅をそこに挟み込んじまうとはな」

 流石「名付けて、新必殺技『キングヨーヨー・バーガープレス』!! 挟んだ相手の妖気をどんどん吸い上げちゃうから、一度つかまったら最後、逃げる術は無いんですよね〜」

 樹里「でも、男の子って不思議。あの試合がきっかけで、修羅選手と鈴駒選手、仲良くなったんでしょう?

 流石「だって、修羅が全っ然泣き止まないんだもの。前回も悔し泣きしてたけどさ。鈴駒くんがとうとう見かねて、ヨーヨー一つ分けた上に遊び方教えてあげてたのよね。魔妖妖って、鈴駒くん本人じゃないと妖気通せないつくりになってるから、修羅にとっては本当にオモチャなんだけど」

 棗「逆にそれが良かったんじゃないの? 修羅ってこの三年間、黄泉と旅してたそうじゃない。子供らしい遊びなんて今まで知らなかっただろうし、そればっかりは黄泉じゃ無理だろうし」

 小兎「某所からのタレコミ情報によると、黄泉選手は『妖力的にも年齢的にも、鈴駒だったらいい友達になってくれそうだ。その分、親離れも早まりそうだけどな・・・・・・』と、弱冠寂しさを滲ませながらおっしゃってたらしいですよ」(情報源・幽助)

 躯「あいつ、本っっっ当にキャラ変わったな・・・・・・」

 凱琉「それにしても二人とも、将来有望よね〜。大人になったら、どんだけいい男になってくれるのかしら」

 瑠架「選手としての期待じゃないのね・・・・・・」

 流石「ダメ! 鈴駒くんはあたしの!

 樹里「あ、あの〜、そろそろまた別の試合振り返りません? 例えばホラ、今大会は鈴駒選手をはじめ、六人衆の方々が大躍進だったじゃないですか!

 孤光「本当だよね、ついにご祝儀包んでやる時が来たかと思ったもん、あたし」

 棗「・・・・・・それ、どーゆー意味かしら? 答えの内容によっては今すぐここで番外試合始めてもいいのよ!

 小兎「く、繰り返しますが穏便にお願いしまーす! この新社屋、完成して本当にまだ間もないんですから!

 瑠架「(さっさとVTR流した方がいいわね) ではここで、第一回トーナメントからの因縁試合となりました死々若丸選手VS北神選手の試合をご覧頂きます♪」

 

 躯「今回は死々若丸の方に軍配が上がってたな。まぁもともと妖力値でなら奴の方が上だし、軟体術の弱点も見破っていたようだぜ。剣もさらに改良されてたしな。手を離しても剣が浮いたまま技を発動し続けてくれるなんて、本当便利なもんだ」

 樹里「改良したのは、他ならぬ鈴木選手だそうですよー。ライバルだからこそ惜しみなく塩を送るべきだって、事前番組のインタビューでもおっしゃってましたねvV」

 棗「それにしても死々若丸の試合は青年だったり小鬼だったりと、目まぐるしかったわね。あれでうまくフェイントが決まると、対戦相手は北神に限らずリズム乱されてたみたい」

 樹里「ちなみに若様ファンクラブ、今でも会員数が増加の一途を辿ってるとか。三年前からは小鬼姿の方も人気高いそうですよ」

 孤光「あたしね、正にその小鬼ヴァージョンの方がいいな。あの姿なら生意気や毒舌言っても可愛いじゃん」

 流石「そうなんですか? あたしの友達とかは青年姿の方にメロメロんなってますけど。しかも今大会をきっかけに、黒鵺さんの株が急上昇なんですよ。ただでさえ正聖神党の事件で有名になっちゃってたし、昔も名が知れてた人だし」

 凱琉「そうなのよ! 昔もライバル多かったけど、さらに増殖しちゃってさぁ! まいっちゃうわねぇ、も〜」

 小兎「女性客アンケートを見てみますと、死々若丸選手派と黒鵺選手派にほぼ真っ二つです。蔵馬選手の欠場も原因の内でしょうね。それと・・・・・・死々若丸選手以外の六人衆人気も上向きでして(ちょっと複雑)。ここから連続で、六人衆出場の試合ベストセレクトをご覧下さい」

 

 瑠架「何ていうか・・・・・・色んな意味で濃ゆかった対戦カードでしたよね。酎選手VS鈴木選手。しかも鈴木選手の方が思いのほかタフになってて、この試合五十時間も続いてましたもの」

 孤光「ただ、持久戦はやっぱり酎のが有利だったね。最後はスタミナ勝ち」

 樹里「しかもこの試合、きっとラジオで音声のみ聴いてても絶対退屈しなかったと思いますよ。このお二人ヒートアップしすぎて、実戦のバトルだけに飽きたらず口喧嘩まで同時進行でしたから♪ ふつーの取材じゃ聞き出せない事まで聞けちゃいましたよね〜」

 小兎「口喧嘩というより、暴露合戦だったような気が・・・・・・」

 瑠架「あぁ、鈴木選手のラボにやたらめったら鏡が置いてあるとか、最近酎選手が密かに抜け毛対策はじめたとか?

 (気になるならまず、モヒカンと酒やめればいいのに・・・・・・・・・)

 躯「研究室に鏡なんてたくさん置いてどうすんだ? 何か新しいアイテムでも考案中なのか?

 流石「や、多分『研究に没頭するオレも美しい!』とか何とか言ってるんじゃないかと・・・・・・」

 棗「その内、ラボ内の壁を総鏡張りにするんじゃない?

樹里「もしそうなったら、魔界史上最強に個性的なラボですよね! 確実に歴史に名を刻みますよ」(お世辞じゃなく本気)

 凱琉「あ、ねぇちょっとちょっと、次のVTR始まったわよ。こっちも雪辱戦だったのよねぇ」

 孤光「あぁ、痩傑と陣ね。陣が神風使えるようになったの抜きにしても、相当腕上げてたよ。前回とは比べ物になんないって! ・・・・・・ただ、それだけにあの決着はあたしもコケるかと思ったけどさ」

 躯「正直、痩傑に同情しちまったぜ・・・・・・。あれじゃあ勝ててもラッキーとは思えないな」

 凱琉「あらぁ、こんなトコまでよくカメラ撮ってたわね。ほら、痩傑ちゃんが『このボケンダラ! ここからが面白くなりそうだったのに!!』って陣ちゃんに拳骨落としてるトコ」

樹里「まさか・・・・・・風使いが風に煽られて場外まで吹き飛ばされて落下するとは、夢にも思いませんでしたから」

棗「人間界じゃこーいう時、『想定の範囲外』とか言うらしいわね。ただ、きっと一番ビックリして不本意なのは陣の方だったでしょうけど」

流石「でもあの無謀さ加減は、陣さんらしいっちゃ陣さんらしかったと思いますけどね。何たって、神風全開の中、修羅旋風拳ダブルだもの。そりゃーいくら風使いでも制御しきれませんって」

孤光「そのお陰で、次の準々決勝で痩傑とあたったウチの旦那が八つ当たりされたんだよ。何とか旦那の方が勝ちはしたけど、さらにその次の準決勝で幽助に負けちゃったし。しかも幽助も格段に強くなってたしさ」

 瑠架「若さゆえのツメの甘さってやつかしらね(ま、陣の場合そこがいいんだけど・・・・・・ふふ)

 小兎「おっと! ここで六人衆トリにして、炎と氷の頂上決戦となった注目カードの映像が届きました!

 

 小兎「灼熱地獄VS極寒地獄というキャッチコピーまでついた、飛影選手VS凍矢選手! 暗黒武術会では実現しなかったドリームマッチでしたよね」

棗「っていうか、事実上タッグマッチだったじゃない。試合開始と同時に飛影は黒龍を凍矢は白狼を完全形態で召還してたもの」

躯「白狼は飛影に黒龍を纏わせまいと、黒龍はここぞとばかりに白狼を食い殺そうとしてたっけ。こっちもこっちで因縁試合か?

樹里「召還魔獣同士の対決と同時進行で、術者同士も炎殺剣と呪氷剣で凌ぎを削ってたから、今観ても闘技場が本当に地獄以上の地獄絵図・・・・・・。担当した審判のコが早々に退避してたそうですよ。無人カメラだけでここまで撮影できたのは奇蹟です!

瑠架「それにしても一番凄かったのは・・・・・・キャッ! そ、そうそうやっぱここですよ! 闘技場というか億年樹が根元から爆発して木っ端微塵になったトコ!!

凱琉「衝撃的だったけど、無理ないわねぇ。億年樹がガラスのコップだとしたら、そこに熱湯と冷水を交互で連続に注いでたようなもんよ。ここまで持ちこたえたのが不思議だわ」

孤光「両者同時に戦闘不能って事で、第二回目にして初の引き分けになったんだっけ? んで、幽助がシードになってたんだよね。本人はどっちとも戦えなくなって、凄く残念がってたけど」

小兎「私もこの時ばかりは、ついつい絶句して実況できなくなってしまいました・・・・・・。それにしても、飛影選手と凍矢選手が二人揃って一命を取り留めていたのは、本当に幸いでしたね! 瓦礫と化した億年樹の下敷きってことで、絶望視の憶測も飛んでたんですよ!

瑠架「白狼は子狼形態でだったけど緊急召還が発動したし、何より救助活動が早かったからじゃない? 陣選手が、この時試合に出てない仲間内の選手達を神風で連れ出して、文字通りすっ飛んでいったんだもの」

流石「あ、その中にあたしと鈴駒くんもいたんですよ。『あんな真似しなくても助けに行くのに』って、後で鈴駒くんが零してました。気がついた時には突風の中だったもの。本当、びっくりした!

小兎「・・・・・・ところでこの試合、もし億年樹が最後まで壊れずにいたら、どちらが勝ってたんでしょね」(凍矢だといいな〜と思ってる)

躯「・・・・・・攻撃力なら黒龍、防御力なら白狼だから、一概にどっちがより有利かは簡単に断言はできんな」(飛影だといいな〜と思ってる)

 

 凱琉「ねぇねぇちょっと、そろそろ黒鵺ちゃんの試合も観せてくれない? 特に準々決勝がすんばらしかったじゃないの!

 小兎「黄泉選手との一戦ですね。確かにこちらも注目カードでしたよね。聞いた所によると、かつて黄泉選手を盗賊にスカウトしたのは、他ならぬ黒鵺選手だったんだとか」

 凱琉「そーよぉ、もしかしたら黄泉様が黒鵺ちゃんの部下だったかも? な縁だったのよ。不思議なめぐり合わせよねぇ」

 躯「オレとしても興味深いな。この時自分も試合中だったから、見逃してたんだ」

 

 流石「相変わらず、黄泉さんって目が見えないとは思えないわよね。これだけ猛スピードのガチンコ勝負なのに」

 瑠架「そういえば、黒鵺選手が本選以降、ひとっつも結界使ってなかったのも意外ですね。予選の時に広範囲の重縛結界張って、自分以外の選手達を地べたに這いつくばらせただけで」

 棗「でもないわよ。昔の盗賊時代からそーいう評判だったもの」

 凱琉「黒鵺ちゃんはよっぽど敵の数が多いか自分が不利な状況にいるかじゃない限り、めったに結界使わない主義なのよ。『こっちが有利すぎてもつまんねぇ』って。男よね〜vV

 躯「黄泉は黄泉でこの試合では、魔古忌流煉破反衝壁を使おうともしなかったな。まぁ使った所で黒鵺に破られるのが関の山だからだろうが。あれも結界の一種みたいなもんだし」

 樹里「お二人とも、その辺最初からわかってらしたって事ですよね。試合開始早々、拳と蹴りのコンボ技応酬が繰り広げられましたもの」

 孤光「終盤でさ、黄泉が黒鵺の羽掴んでぶん投げた時は勝負あったかなーって思ったんだけど、その後の反撃が凄かったよね! ま、黒鵺も勝ったとはいえあの黄泉と丸二日間戦いっぱなしだったから、準決勝はキツかったみたいだけど」

 流石「しかもその対戦相手が躯さんでしたもんね。元三竦みの内の二人と連戦だなんて、実はクジ運悪いんじゃ・・・・・・?

 凱琉「おだまり小娘! 男はねぇ、ちょっとくらい欠点とか弱みとかあった方が、かえって魅力的だったりするもんなのよ!!

 流石「小娘ぇ?! 何よ、オカマな上ふられっぱなしのあんたに、男の人についてどうこう語られたくないわ!!

 小兎「そ、そして! ついに迎えた決勝戦は躯選手VS浦飯選手!(強引に割って入った)「移動要塞百足の女王と、闘神雷禅の忘れ形見にしてトーナメントの生みの親による、今大会最強のカードだったわけです!

 棗「改めて血は争えないと思ったわ。幽助本人の個性ももちろん強いんだけど、ますます父親に似てきたわね。本気の闘神変化で、髪までばーっと伸びてたし」

 孤光「いや〜観ててこんなにエキサイトした試合は他になかったよ! あたしなんか、興奮しすぎていつもより酒進むわ隣りにいた旦那をバシバシはたくわで、終った時には自分も戦ってたくらいに疲れてたなぁ〜」

 樹里「(・・・・・・多分、よりお疲れだったのは煙鬼選手だったんじゃ・・・・・・?) どうです躯選手、最終試合となったその一戦を振り返ってみて」

 躯「ん〜・・・・・・(VTRに見入ってる) 実はオレ、雷禅の方とは一度も直接勝負した事無くてさ。まぁ『三竦み』っていわれてたくらいだから、黄泉も含めて膠着状態保つのが精一杯だったんだけど。結局戦争さえできないまま、あいつ死んじまったし・・・・・・。もし奴が人間食べるのやめず生き延びてて、オレと戦ってたならこんな感じかなぁって、頭の片隅で考えてたな。あとはそうだな、ざまぁみろって思った」

 瑠架「と、いいますと?

 躯「浦飯との決勝戦はもちろん、全部の試合が楽しかったからさ、このトーナメントに参加できなかった事は闘いの神として不本意のはずだろ。そこんところに限って言えば、奴に唯一勝てたことになるかな」

 孤光「きゃははははは〜! 上手いこと言うじゃない躯! そうだよザマーミロって話だよ! 悔しかったら生き返ってみろっつーのー!!

 流石「あ! 孤光さんってばこんな所に鬼殺し持ち込んでる!

 棗「いつの間に・・・・・・! 普段からテンション高い性格だから、うっかり見落としてたわ! ちょっと誰か、酔い覚まし持ってきて!

 小兎「そ、それではここで、いったんCMでーす!!

 

CM終了〜

 

小兎「え〜では話題変わりまして・・・・・・ゲストの皆様が知ってる、出場選手の皆様について、ここだけの話なんてございましたらぜひお聞かせ願いたいんですけども(特に凍矢選手で!!)

流石「これ鈴駒くん経由の情報なんだけど、浦飯くんって人間界に彼女いるんですって」(言うまでも無く螢子の事)

孤光「何―?! あいつも人間の女が好きなわけ? マジで似たもの親子じゃん」

流石「でもその彼女ってのが、実は超S級妖怪以上のパワー秘めてるらしいんですよ。浦飯くん、その人が放つ往復ビンタの前にはなす術も無く瞬殺されちゃうんだとか!

凱琉「嘘でしょ、闘神の息子にしてトーナメントの準優勝者が瞬殺? よりにもよって人間の女に?

樹里「きっとあれですよ、恋は惚れた方が負けって事なんじゃないですか?

瑠架「多分というか、確実に違うと思うわよ・・・・・・」

流石「もう一つ、今度は六人衆ネタいきましょうか。凍矢さんのあの髪型の理由について」

小兎「(キターーーーーーー!!)

棗「髪型・・・・・・? まぁ確かに珍しくはあるわね。基本オールバックで片側の前髪だけ下ろすなんて」

躯「そういや、飛影との対戦では完全に崩れて髪が下りてたが・・・・・・。別に、わざわざ固めなくてもあのままでよさそうなもんだよな。何かこだわりでもあるのか?

流石「実はですね、下ろしたままだと女の子に間違えられるから、だそうですよ。しかもあの人色白で華奢だし」

小兎「い、言われてみれば・・・・・(VTR再生)確かに、中性的にも見えますけど・・・・・・」(女のプライド崩壊中)

孤光「何も知らない奴がこの状態の凍矢を見たら、確実にくの一だと思うだろうね〜あはは〜♪」

棗「あんた、まだアルコール残ってるでしょ」

流石「あっ! いけない、肝心な事忘れてた。今のはこないだ六人衆邸に遊びに行った時、陣さんがポロっと口滑らしてた事なんだけど、絶対他にはバラさないでくれって頼まれてたんだったわ。カットね、カット!

樹里「……や、この番組生放送ですから」

棗「本日二回目だけど気のせいかしら・・・・・・どこかで誰かが全身氷漬けの刑に処されてる予感が・・・・・・」

瑠架「(叶う事なら、私の体温であっためてあげたい・・・・・・なーんてvV)

 凱琉「あたしからは、もちろん黒鵺ちゃん情報よ〜。昔々、彼が蔵馬ちゃんと組んで間もない頃のことなんだけど、当時の蔵馬ちゃんってば今の鈴駒ちゃんくらい小さくて、まだ戦い方もろくに身につけてなかったから、黒鵺ちゃんが移動式の防護結界を張って常にガードしてたのよ。顔なじみのあたしでさえ、絶対近づけてくれないくらい用心してたの。大胆に見えるけど、実は結構心配性なよねぇ」

 躯「・・・・・・おそらく、誰よりもお前から守りたかったんじゃないかと思うんだが・・・・・・」

孤光「んじゃ、次あたしね。これもう一部じゃ知られた話なんだけど、九浄と痩傑が二年前くらいから、それぞれ小兎ちゃんと瑠架ちゃんの大ファンでさ。仲間内から樹里ファン発掘しようと目論んでたんだけど、他の連中は呆れるばっかで誰も相手にしねーの。あ、ごめん樹里ちゃんには不愉快な話だったかな?

樹里「いいえ、全然構いませんよ♪(だってあたしには鈴木さんがいるしー)

棗「・・・・・・その話題乗らなきゃダメ? あたしまで恥ずかしいからやめて欲しいんだけど。や、別にね、九浄の趣味なんかどーだっていいっちゃどーだっていいのよ。ただ・・・・・・どうも目に余るというか鼻につくというか・・・・・・しまいにゃ酎まで利用しだしてるし」

樹里「あぁ、たまに酎選手が浦飯選手仲介にして、小兎さんからサイン入りのCDやグッズ受け取ってますね。あれが全部九浄選手に流れてるのは知ってましたけど。そういえば、今回のトーナメントでもスタッフに掛け合ってたそうですよ。小兎さんと瑠架さんにどうにか一目個人的に会えないかって。まぁ、無理でしたけど」

棗「それにさ、あんた達来月、人間界でライブやるんでしょ? 九浄が幽助に代行させて、それのチケット取ってたわ。あいつは服装さえ変えれば、簡単に人間に混じれるし」

孤光「とうとう次元超え遠征かー。痩傑は『ツノとこの尾さえどうにかなれば!!』って、ヤケ酒かっくらいながら男泣きしてたよ。あいつの酒量があたしを上回ったのって、あの時が初めてじゃないかなぁ」

瑠架「まぁ、どちらかというとニヒルなイメージがあったんですけど、痩傑選手って実は情熱的側面もおありなんですね(陣もせめてそれの半分くらい、恋愛に興味持ってくれていたら・・・・・・)

凱琉「んで? ぶっちゃけカルトの方こそどうなのよ。コレ(親指立てる)事情は」

小兎「えっ?! いやいやいや、勘弁してくださいよ。私達アイドルですから、スキャンダルはご法度なんです!

凱琉「焦るって事は・・・・・・バレちゃまずい事実でもあるの〜?(ニヤニヤ)

樹里「ま、まぁまぁ、この番組の主役はあくまでゲストの皆さんであって、あたし達じゃないんですから」

孤光「ってか躯〜、あんたさっきから一人で傍観してないでよ。大統領が積極的に発言しないでどーすんの」

躯「と言われてもな・・・・・・別に大したネタなんかないぜ」

孤光「大したことなくていいの! 裏情報ってのは案外、小ネタの方が面白かったりするんだよ」

躯「ん〜じゃあ・・・・・・あ、そうだ。トーナメント記念式典での事なんだが、あの時の屋台の一つに、人間界の食い物をまんま再現して売ってる店があっただろ」

流石「あ、もしかしてあたしと鈴駒くんが、躯さん達と鉢合わせた、あのお店ですか? あそこ美味しかったですよね〜! 今度、鈴駒くんと人間界にあるそのお料理の老舗に行く予定なんですvV

凱琉「ちなみに、その人間界のお料理って?

躯「もんじゃ焼きとかいうそうだ。浦飯達いわく、下町文化のたまものらしい。直接言いこそしなかったが、なぜか飛影がいたく気に入っててな。人間界には無関心な奴かと思ってたから、あれは意外だった。しまいにゃ鉄板奉行になってやがったんだ」

瑠架「・・・・・・ん? でも躯大統領って確か、食人種なんじゃ?

躯「厳密には雑食だぜ。養分の摂取効率で言えば、人肉が一番確実なのには違いないが。それを抜きにしても人間界には、人間そのもの以外にも美味いもんがあるんだな」

孤光「ついでに言うと、あたしらも雑食だよ。たぶん、黄泉や北神達もだね。本当に人間以外受け付けられない体質の妖怪は、きっと雷禅で最後だったと思う」

棗「魔界と人間界が自由に行き来できるようになったのも、実は自然の成り行きだったかもしれないわね。もともと、あの巨大結界は昔の霊界が勝手に張ったもんだったんだし」

流石「結局、昔にと言うか本来の状態に戻ったって事ですね。おかげで人間界でもデートできますからvV

 

樹里「そういえば大統領、トーナメント終了直後の就任演説では、新たな政策に関しては日を改めて発表するとおっしゃってましたが、その後どうなりました?

躯「あぁ、あれか。ちょうど良かった、魔界のほとんどの地域で放送されてるんだろ? ここで発表させてもらうぜ。基本的には、煙鬼の時にできた法律を引き継ぐが、パトロールの義務に限っては撤廃する。霊界との紳士協定もそのままだ。ただし、もし偶然次元のひずみに落ちたらしい人間を見つけたら、その時は保護すること」

棗「そりゃー助かるわ。パトロールって給料は悪くないけど、拘束時間は長いし退屈だし。荷が一つおりたわね」

孤光「しばらくは、旦那と隠居生活に戻ってのんびりしようかねー。そろそろ羽のばさないと」

躯「早合点は困るな・・・・・・。パトロールを撤廃したのは、それをやってる余裕がなくなったからだぜ」

流石「え、どういうことですか?

躯「煙鬼の代からすでに、トーナメント制反対派からなるテロリスト問題が絶えなかっただろ。今回のトーナメントも、会場爆破の脅迫が何度もあった上、実際に仕掛けようとする連中までいたくらいだ。まぁ全員選手達によって返り討ち食らったから良かったが。しかし今後、敵はさらに力と数を増してくると思われる。中には、トーナメントにまともに出場してたなら、上位入賞も夢じゃない連中も多いという予測もあるほどだ。そこで!

凱琉「そこで?!

躯「本選出場したトーナメント敗者達の中から、テロリストに対抗する戦闘部隊として、オレの直属となる77戦士を新編成する。ちなみに選定基準は、オレの独断と偏見だ」

瑠架「いっそ、すがすがしいくらいの断言ですね」

 小兎「しかし、これは思わぬ展開です!(マイク掴んでる) トーナメントの継続を脅かすテロリスト達に対し、新大統領からの宣戦布告でもあります!!

躯「ちなみに、人間界に住居と戸籍のある浦飯はこれを免除。もし人間界にまで危険が及ぶ場合は、あいつや蔵馬にも協力してもらう事になるがな。この番組終了後、選定された戦士達の下に任命状が届けられる事になっている。あ、それと拒否権は無い、悪く思うなよ」

流石「確認したいんですけど・・・・・・今日、この番組に出てる、あたし含めた女性選手って・・・・・・」

躯「帰ったら、任命状の中身を確認しておけ」

流石「やっぱりーーー!!! 本当にそれ実行しちゃうんですか?! あたしトーナメントのちょっと前に、引越ししたばっかなんですよ。躯さんの直属の部下になるって事は、百足に住まなきゃいけないって事?!

躯「や、住居は個人の自由だ。今後、新たな大統領官邸となる百足といつでも連絡が取れて、緊急集合に即応じられれるのならな。逆に、百足に住む方が都合がいいという者は、いつでも受け入れる」

孤光「確実にあと三年は、また忙しくなりそうだねー。ま、ケンカは好きだからいいけど」

棗「パトロールより戦ってる方が遥かにマシだし、トーナメント邪魔されるのは嫌だからテロリスト問題は避けて通れない・・・・・・戦士側と大統領側で利害一致してるわね、見事に」

凱琉「そういえば、女性選手以外・・・・・・例えば、今日名前の挙がった選手達については? ってか黒鵺ちゃんの場合は?!

躯「全員任命決定済みだ。おい、観てるか?(カメラ目線) さっきも言ったが、拒否権はないぞ。働きに応じた報酬は約束するから、この先も精進しろよ。あ、でも黄泉は例外。あいつは戦士じゃなく、引き続き癌陀羅統治と77戦士をサポートする諜報機関の総合責任者を任せる。(今更直属の部下としては扱いづらいしな・・・・・・修羅のがまだやりやすそうだ)

瑠架「新体制、ここに発足といった所ですね。躯大統領と77戦士の皆さんのご活躍に、さっそく期待が高まり始めてるんですが・・・・・・気付けば、番組の放送時間がとうとう残りわずかとなってしまいましたわ」

樹里「では最後に、ゲストの皆様から一言ずつお言葉を頂きたいと思いまーす♪ 女性選手の皆様は、新77戦士としての意気込みもどーぞ!

流石「最初はビックリしたんだけど・・・・・・鈴駒くんも一緒だし、精一杯頑張ります。あ、それと陣さん、バラしちゃってごめんなさーい」

棗「多分本人には聞こえてないと思うわよ(氷漬けだから) 意気込みねぇ・・・・・・ま、敗退したからには潔く受け入れて、第三回への修行とも思ってまい進するのみって感じかしら」

孤光「ねー、この後打ち上げあるの? 最近いい店見つけたから、そこへ繰り出したいんだけど誰か付き合ってー」

凱琉「やっぱり、黒鵺ちゃんが魔界で一番イイ男だと思うわーvV

躯「後半の二人、論点はずしすぎだぞ。ま、何はともあれ、オレの目の黒い内はテロリストどもの好きにはさせんさ」

 

小兎「新大統領も頼もしいお方です! それではTVの前の皆様、この「ドキ!!☆女だらけの? トーナメントプレイバック」をご覧頂き、まことにありがとうございました〜!!

 

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